Don’t Think You Are, Know You Are!(速く動こうと思うな、速いと知れ!)
前回記事の最後にこう書いた。
Don’t Think, FEEEEEEL!(考えるんじゃない、感じるんだ!)
我らが神、ブルース・リーの名言に次ぐ含蓄深さだ。
発したのはご存知モーフィアス先生。
ご存じでない!? そうじゃないかと思ったんだ。
モーフィアス先生が映画『マトリックス』に登場したのは1999年。もう20年近く前になるのか・・・!
SF映画界においてかなりエポックメイキングな作品だったし、当時主人公が弾丸を避けるポーズはあらゆる媒体でネタにされていたから「ああ、あの!」な方も多いだろう。
念のためあらすじ。
腕利きのハッカーであるネオは、自分や世界に現実を感じることができなかった。
そんな時、伝説的ハッカーであるモーフィアスとトリニティがネオに接触してくる。
「本当の世界を知りたくはないか?」というモーフィアスの誘いにのるネオ。
彼らのアジトで“目覚めた”ネオは本当の世界に放り出された。
今まで現実だと思っていた20世紀後半の世界は、実は世界を支配している人工知能によって作られた仮想現実であった。
人間は誕生から死まで機械に管理され、ずっと夢の中で生きて来たのだ。
その“現実”に気がついたモーフィアス一味は、仮想現実=マトリックスの中でレジスタンス活動を行っていたのだが……。
「すべては私の見ている幻に過ぎないのかもしれない」という洋の東西を問わず考えられてきた実存的不安の最新版解釈。
架空の世界をCGで描いてきた既存のSF映画に対して、『マトリックス』では
この現実の世界を「仮想空間」として、
CGで描いた悪夢的未来の世界を「現実」として描いたことが斬新だった。
さてそのワンシーン。
モーフィアス達レジスタンスは、マトリックス内で戦うための方法を「戦闘技術ソフト」をダウンロードすることで身につける。
脳に直接ケーブルをつなぎ、射撃やヘリの操縦、格闘技のソフトを矢継ぎ早にダウンロードさせられるネオ。何時間かのぶっ続けDLのあと、目を見開いた彼は言う。
「カンフーを覚えた」(うらやましい!)
「見せてみろ」モーフィアスがそう答えるや否や、二人の周りが武道場に変化する。格闘技練習用のバーチャル道場にアクセスしたのだ。
そこで二人は監督のウォシャウスキー兄弟(弟)のオタク趣味全開で戦うわけだが
(私? もちろんこのシーンは大好きだ!)
ネオはどうやってもモーフィアスにかなわない。柱に叩きつけられくずおれるネオ。
「どうして勝てないと思う?」とモーフィアス。
「速すぎる……」とネオ。
ネオと我々観客はモーフィアスの圧倒的強さを目の当たりにした。修練の違い、実力の違いを見せつけた。
だがモーフィアスは意外な一言を言い放つ。
「速さや戦闘技術の差は、私と君の肉体の差か? この仮想空間で」
ネオとモーフィアスのカンフー合戦。この二人の戦いは、「信念」に関する優れたコーチングのメタファーを展開することになる。
今回の私の結論。