シカゴ警察のネゴシエイター、ダニー・ローマンのせいでこんな質問を受けることになる。
Q.アイ・アクセシング・キューで嘘をついているのが分かりますか?
アイ・アクセシング・キュー(以下LEM)はNLPの代表的モデルだ。
NLP創始者は考えた。
なぜだかわからないけど、人は考え事をするとき目が動く。よし質問してみよう。
「いま何を考えていますか?」=千差万別十人十色、人の数だけ可能性がある。こりゃ駄目だ。
「いまどのように考えていますか?」=なんだか目の動きと一定の対応パターンがあるっぽいぞ。
それも目の向きによって「思い出す」とか「未体験のものを想像する」とか、これも対応パターンがあるっぽいな。
依然理由はわからないけど目の前の人間が実際そうなんだから仕方がない。人の考え方を理解するのに便利だからモデル化しよう!
でLEM誕生と。
「目の前の人が自分の中にある情報をどのように扱っているか」。実感として今まで出会ったほとんどの人がこのLEMモデルに合致する印象だ。
そう、あくまでも「どのように」だ。それをダニーが
「もし、あんたの目が左上に動いたとしたら嘘は言ってない。だが、もし右上に動いたとしたら、あんたは嘘をついている」
とかニーバウムにかますもんだから・・・。あ、映画『交渉人』の話ね。
だから
Q.アイ・アクセシング・キューで嘘をついているのが分かりますか?
の答えは
A.わかりません。分かるはずがない。
です。
確かに映画の中でニーバウムの目は向かって右上に動いた。
だから? 我々に言えることはせいぜい
「何か未体験のものを視覚的に想像しているのかな?」
どまりである。これとて予想、見立てであって確実なものではない。
あの敏腕ダニー・ローマンらしくもない・・・と言うところでふと思った。
これはダニーの作戦なのではないか?
ダニーはNLPのLEMモデルを正確に把握したうえで、ニーバウムからボロを出させるために敢えてかましたのではないのか?
うそ発見器、ポリグラフは発汗や血圧、呼吸の変化によって被験者が嘘をついているかどうかを判定するという。その検出率はなんと80%だ。
・・・たぶん80%というのはそれこそ嘘だろう。司法当局がかましているのだと思う。
なぜなら、被験者が「うそ発見器の検出率は80%」と信じビビることによって、検出率が本当に80%になるからだ。ここには「信念はそれを真実と信じることで真実になるという」箴言の究極的な姿がある。
だから我らがダニーも「俺はお前の嘘を見破れるんだぜ」と信じこませることが目的だったのだ。さすがダニー。
・・・そのおかげで全世界に誤解の種をまき散らかしたわけだが。
目の動きごときで嘘が見破れるはずがない。
確実に嘘をついていることを示すユニバーサルなサインもないらしい。
(俗流心理学はあれこれ言っているが)
ではどうする? というところで続く。
NLPを神経科学でアップグレードする
~NLP and Neuroscience~
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会場:国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)
講師:ジョセフ・オコナー(Joseph O’Connor)
通訳:小林 展子 Ph.D.
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2018年5月4日(金祝)開催