もう一度言う。
目の動きだけで嘘をついているかどうかなど分からない。
しかし、「目の動きで嘘が分かる」というアイ・アクセシング・キューの神話をうのみにすると、もしくは神話をうのみにしたトレーナーから教わると、とんでもないことが起きる。
オコナーさんから聞いた話だ。
ある英国の警察署がNLPを導入したことがあったという。
理由はもちろん「容疑者の目の動きで嘘を言っているかどうか分かるから」。嗚呼。
被疑者を取り調べるとき、当然目の動きに注目しただろう。
「いついつの何時ごろ、どこで何をしていた」
被疑者の目が瞬間的に動く。
あなたは昨日何をしていたか思い出すとき、目がどちらに動くだろうか。
明日何をしているだろうかと想像するとき、目がどちらに動くだろうか。
「知っていること、体験したことを思い出すときは左側に、
知らないこと、未体験なことを想像するときは右側に動く」
NLPではそのようなガイドラインを元に人を観察する。なぜだか分からないが人という生物にはそういう傾向があるようだ。
「その日は一日家にいたなあ」
被疑者の目がまず左上に動いた。本当のことを言っているな。
「その日は○○に会って、食事をしていた」
お、目が右上に動いたぞ。想像したことをしゃべっている。つまり嘘をついている! 勾留だ!
こんな乱暴なことをしていたのだろうか。
さてここにアイ・アクセシング・キューのガイドラインがもう一つある。
「左利きの人はパターンが左右反転していることがある」
左利きの人が何かを思い出すときは視線が右側に、何かを想像するときは視線が左側に。つまり右利きの人と視線が動くパターンが反転していることがあるというのだ。
これは私自身経験したことがある。
「目が右上に動いたぞ。嘘をついている!」
そんな根拠で取り調べを行っていた期間と、NLPを導入する前の期間でその効果のほどを調査してみたという。するとNLPを導入してから明らかに優位差がある項目が表れた。
それは勾留者中の左利きの割合の増大。
「その日はどこにも出かけてない」左利きの人は記憶を探りながら右上を見上げる。
目が右上に! 嘘をついている! 勾留!
いや笑えない。
その警察署の後日談は聞いていないが、捜査方針が通常に戻っていることを祈ろう。
NLPを神経科学でアップグレードする
~NLP and Neuroscience~
開催:2018年4月28日(土)~5月3日(木祝)の6日間
会場:国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)
講師:ジョセフ・オコナー(Joseph O’Connor)
通訳:小林 展子 Ph.D.
※2017年11月30日(木)までにお申込みいただいた方は
2018年5月4日(金祝)開催