効果がないより効果的なものが望ましい。これは当たり前。
しかし“効果的”というのも非常にあいまいな言葉だ。
誰にとって? どんな領域で? 何に比べて?
では自分にとって、人間関係の領域で、行き当たりばったりのコミュニケーションと比べて、の話をしよう。
BCBでは“効果的なコミュニケーション”という言葉をよく使う。
“効果的”をBCB的に定義するならこうだ。
1.自分の得たい目標が明確でそれに向かっている
このやり取りで得たいものは何なのかに気づいており、そのためのコミュニケーションであること。
2.相手の能力を引き出している
意見や依頼の一方的な押し付けではなく、相手から可能性や能力を発揮させるような関わりをすること。
3.自分の感情も相手の感情も尊重している
不満や我慢があってもいい。ただその想いを適切な形で表現し合える方法を知り、それを良しとする関係を築くこと。
「しかしですね」と、BCBのレクチャーをしていると質問されることがある。
「仕事や子育てでも、『四の五の言わずにやりなさい!』というBCBでいう<批判的な親>の状態での関わりの方がうまくいくと思うのです。特に絶対にやらなくてはならないこととか急いでいる時などにおいて……」
もっともな意見だと思う。短期的な成果を上げたり時間が限られているときにはそういう対応も必要だろう。
ちょうど最近強く感じたことにつながっている気がする。それは
「“効果的なコミュニケーション”のモデルを見せることは、子どもに対する最大のギフトなのではないか」
ということ。
BCB創始者、エーブ・ワグナー先生の言葉が思い出される。
『<従順な子供>の状態で部下が仕事をすることには、大きな問題が含まれます。
彼らは自分で考えない、そして“はい、はい”と言っても特に忠実でもないのです。
人に対して依存をし、自分に対して否定的です。このような状態ではいい仕事ができません。自分を、肯定的に思う人の方がいい仕事をします。
私は子ども達や仕事での部下が、私を尊敬し、私が言っていることに意義があると、自ら話を聞く関係でいたいのです。
<批判的な親>は人に恐れられ、人はその人が恐いから動くのです。私はそんなに周りを怖がらせて動かしたくはありません。私の子ども達や部下が、私を怖がるのを基準に行動するのは好ましくありません。
私が望む関係は、自分の子どもが対等に、自分の考えと感情を持った一人の人間として私の前で表現ができて、意見の相違も表現できる人でいることです。
成長の過程で、子ども達が家族と過ごす20年間は、その子達の人生の研究所でもあります。
そこでは、いろいろ試すことができます。その過程で欲しいものをお願いする、違う意見を表明する、問題と向き合うことなどを学んだりするのです。
それが家族の間でできなければ、現実の社会でどうやってすぐにできるようになるのですか?
これができないまま、ある日親がいなくなったらどうするのですか?
そして誰かに利用されても、自分を守るすべがなかったらどうするのですか?
親は子どもが成長して、人生を無事に過ごすことを望んでいます。そのためには、
親は自分の子どもが、自分で考えない<従順な子供>でいる期待を捨てる必要があります。
そうしないとこの社会でやっていくすべが手に入りません。社会ではやっていけないのです』
それが “効果的なコミュニケーション”を学ぶ究極的な意味だ。
我が子PCMよ、パパはお前たちに生きていくために必要な最大のギフトをあげているかい?
私のベーシックコースには力があります
Abe Wagner & Associates 認定 BCBベーシックコース
よりよい人間関係とコミュニケーションスキル
開催:2018年1月から11月まで毎月一回開催
会場:チーム医療2F研修室(東京都豊島区)
講師:佐々木 啓