無意識はかつて抑圧の座であった。いや、今でもそう考えている一派もある。
そこは表現して否定された、表に出せない、出すとまずい願望や衝動が抑え込まれている場所だ。
そして、その抑圧は完璧ではない。
フロイト的言い間違い(自分では思ってもみないことを言ってしまう)
神経症(足が動かない、手を洗わなければ気が済まない・・・)
言行の不一致(いいですね、といいながら顔は曇っている・・・)
などなどいつでもその噴出する機会を狙っている。
時が経ち、いや無意識は私たちの味方だ、とする一派が現れる。
無意識とは私たちが体験したすべての情報が蓄えられ、利用されるのを待っているのだ、と。
私たちが体験したすべての情報、それはとんでもなく膨大な量だろう。
それが引き出せるかどうか、利用できるかどうかは抜きにして格納されているというなら大したものだ。ぜひ有効活用したい。
その利用法のひとつが「直観」である。
何かのアイデアがひらめいたときのことを思い出して欲しい。
多分そのことについて考えて、考えて、考え抜いた後、まったく違うことをしている時にアイデアが湧いてきたのではないだろうか。
そう、まさに“湧いてきた”。
無意識と言う海から浮かんできた泡が、意識の水面でぱちんとはじける。
それが直観であると私は思っている。
そして、この「まったく違うことをしている時」は日々のトランス状態であることが多い。
お風呂、トイレ、ただぼーっとしている時。つまり意識が検閲をやめた時だ。
膨大なリソースの集まりから得られる直観。
私たちは今以上に直観を信頼し利用しても良いのではないだろうか・・・。
とここで抒情的、それこそ直観的な内容は終わり。
昨今の神経科学とその周辺分野の発見によって、直観の優位性も見直しが始まっている。
それが今回のタイトルにつながってくる。
オコナーさん曰く、
「コーチはクライエントが素早く反応した質問の答えに満足してはいけない」。
コーチングの文脈での話だが、これはあらゆる質問―応答の場面に適応される。
ノーベル賞経済学者のダニエル・カーネマン。行動経済学と神経科学を組み合わせた彼の唱える説からの引用だ。
とはいえ彼の著書を読むとプロフェッショナルが見せる優れた直観的判断を否定しているわけではない。
研究の結果、どうやら信頼のおける直観とそうでない直観にはその条件や環境に差があるらしいのだが――。
まあ今回はさわりと言うことで。
この10月、オコナーさんは『Coaching the Brain: Practical Applications of Neuroscience to Coaching』という書籍を出版しました。
“脳をコーチングする”というタイトルの通り、神経科学の知見をコーチングに応用するという内容です。同名のオンラインセミナーも開催しています。
ということで、今回はオコナーさんにとってホットな話題、
神経科学とコーチングについての動画を掲載しました。
「なぜ素早い返事に満足してはいけないのか」に関しては2日目の予定。
NLPを神経科学でアップグレードする
開催:2018年4月28日(土)~5月3日(木祝)の6日間
会場:国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)
講師:ジョセフ・オコナー(Joseph O’Connor)
通訳:小林 展子 Ph.D.