一体何が起こったのか分からなかった。
いや、何が起こったのかは分かっている。
“てのひらで軽く胸に触れられたら、3メートル後ろの壁に叩きつけられていた”
「な・・・何を言っているのかわからねーと思うが おれも何をされたのかわからなかった・・・」by J・P・ポルナレフ
“今から押すから”という予告をもらっていたので安定した体勢で待ち構えていた。
ただ普通の“押す”と違っていたのは、押されたという感覚が一切なかったこと。
仮にぼーっとしていたところに急な力がかかったとしても、私たちは自分の身体のバランスを自動的に保つ能力を持っている。姿勢反射というやつだ。
この働きによって転びそう、と考える前に一歩を踏み出せる。
しかし今回は、背後の壁に叩きつけられるまで自分の足が止められなかった。
第三者からしたらまるで自分で後ろ向きに飛び跳ねていって、自分から壁にぶつかったように――やらせに見えただろう。
そのとき私に起こっていたこと。
まず私の胸に両の掌が触れてしばらくすると、“触れられている”という感覚が消失した。
それはここまでが自分の身体で、ここからが相手の身体という境界線が消失したということだ。
“押される”という感覚は“押されていない”箇所との感覚の差によってはじめて分かるものだろう。
だから私が感じたことは“押された”ではなく“急に全身が後ろに向かって動かされた”であった。
急な力がかかった、という感覚もない。身体が止められなかった。ドバン、という音を立てて背中から壁に叩きつけられていた。
「こういう感じ」
このような練習のためだろう、板が張り付けられている壁に背中をあずけてあっけにとられている私に師匠は言った。
これが佐々木 ミーツ 武術。私の黄金体験である。
「すげえ! 人間はこんなこともできるのか!」という驚きとワンダー
「俺もいつかは!」という野望と目標
師匠の動きを観察し自分の身体と対話して、細い正解の道を探っていく
何度も何度も何度も何度もだ。
でもこれだけ修業してもまだ再現できねえんだよなあ、ちくしょー!
でも構わない。星は輝いている。方向も分かっている。
それにちょっとは同じようなこともできるようになった。何里の道かは知らないが、進まないと進めないじゃないか。
という想いで修業してきたら、この前のオコナーさんのトレーニングで
「脳に変化をうながすいくつかの要素」を満たしていることがわかった。
当たり前のように思えるアレコレが、神経科学の観点からも裏付けられているみたい。
だからあなたが人にモノを教える立場でも、教わる立場でも、
驚きやワンダー、野望や目標は人の学習を促進するみたいですぜ。
脳の変化-神経の可塑性-を促す要素とは? オコナーさんの動画掲載!
NLPを神経科学でアップグレードする
開催:2018年4月28日(土)~5月3日(木祝)の6日間
会場:国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)
講師:ジョセフ・オコナー(Joseph O’Connor)
通訳:小林 展子 Ph.D.