私はクイズが好きだ。
なぜなら問題と解答が常に一対一対応しているから。
問題:日本の首都は?
正解:東京
問題:ブルネイ・ダルサラームの首都は?
正解:バンダルスリブガワン
一対一対応だ。他に答えはない。
純粋に知識を問われているのであって、知っていれば答えられるし、知らなければ答えられない。いたってシンプルな世界だ。
だから私はなぞなぞが嫌いだ。
なぜなら正解は出題者の胸三寸だから。
なぞなぞの答えは必ずしも事実に基づいたものではなく、いや、積極的に事実ではない。
それどころか出題形式からして無数の解釈が可能なものばかり。
問題:上は洪水、下は大火事。なーんだ?
正解:お風呂
「スーパー銭湯の火事」と答えるとブー!と言われる。
湯船は決して洪水ではないし、釜は決して大火事ではない。語呂合わせや印象などで恣意的に設定された答え。人の数だけあるそれにたどり着くのは私には不可能に思える。
問題:朝は四本足、昼は二本足、夕は三本足。この生き物は?
智の象徴であるスフィンクスからしてこれである。
作家の夢枕獏氏はこれに「プロレスラー」と答えた。
新人の頃はマットに転がされ四つん這いになり、中堅レスラーになって立ち技を覚え、ベテランになって両足と頭の三点でスープレックスを打つから。
正解である。スフィンクスは崖から身を投げるだろうか?
つまりだ。
私はなぞなぞが嫌いなのである。アタマがカタくて答えられないから。
うーん、それでは発展性がないのでアタマが堅いなりにもう少し分析してみよう。
クイズは「出題」で完結している。出題者がどんな人間であろうと地球の衛星は月だし、江戸幕府は徳川家康が開いた。つまりは、「その出題に答える」ことで仕事は終わる。
しかし、なぞなぞ。それが問うのは「何を意図して出題されているのかに答える」こと。つまり出題者や回答者の関係性までをも含むシステムを考慮しなくてはいけないようだ。
だからアタマがカタい私は直感でその糸をほぐすことができない。問題を前にとてもなぞなぞを解いているようには見えない剣呑な顔をして考え込むことになる。
影あるところに光あり。そのおかげで次のような問題を前に立ち止まることができるのも私だ。
次の文章を読みながら、アタマをよぎる考えに注意を払っていただきたい。
「マラソンである選手が2位の選手を抜きました。その選手は何位になったでしょうか?」
あなたが瞬間的に下した判断は何位だっただろうか?
その判断こそダニエル・カーネマン言うところの「システム1」の働き。
役には立つが手放しで信用することのできない脳の働きなのである。
マニュアルから「システムパズル」の一部を掲載!
NLPを神経科学でアップグレードする
開催:2018年4月28日(土)~5月3日(木祝)の6日間
会場:国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)
講師:ジョセフ・オコナー(Joseph O’Connor)
通訳:小林 展子 Ph.D.