「クレーム」
この言葉を見たり、または聞いたりするだけで、怯えや焦りといったマイナスの感情や、動悸や息苦しさといった身体の反応を感じる人が少なくない。
実際にクレーマーから罵声を浴びせられた、クレームをこじらせて問題が大きくなってしまった、という経験がある方にとっては軽いトラウマだろう。
身だしなみや敬語の使い方のようなビジネスマナーから、社内で共有するマニュアルの作り方まで、世の中には様々なクレーム対処法がある。
だが、それとは関係なく必ず起こるのがクレームというもの。
そして、いつかはあなたが受ける番が巡ってくる。
・・・かもしれない。
だから、クレーム対処にとって一番重要なのは、
「クレームを受けているまさにその時、私は何をどうすればいいのか」
ということではないだろうか。
さて、私が担当しているコミュニケーションスキル講座「BCBベーシック・コース」。
このコースのおススメにこうも書いた。
「クレーム対応が苦手でつらいあなた」
苦手でつらい、といってもその種類は様々だろう。
クレーム対処の方法を知らない
方法は知っているけどできない
できるけど私には無理だ
もともと私には向いていない・・・
BCBは心理療法をベースに作られたものだ。だから、Aの場合はBのような単純なコミュニケーションのノウハウではない。クレームに対処するあなたの状態もみていく。
年末まで私が担当するコースは続く。だからBCBの紹介がてら、これから何回かにわたって
「クレームが怖くて何もできなくなってしまうあなた」のために、
BCBをベースにしたクレーム対処の考え方を説明しようと思う。
そして、自分を守りながらお客様のクレームを受け止めて、話をこじれさせずにおさめるにはどうすればよいか、コミュニケーションの秘訣をご紹介したい。
なお、ここで言うクレームとは狭義の「サービスに対する苦情や改善要求」だけでなく、クレームと聴いてイメージする「怒りを表現しながらのコミュニケーション」までを含みます。
1.クレームには二種類しかない
上に書いた通り、クレームとは「サービスに対する苦情や改善要求」のことである。
だから、本人が気づいているかどうかは別としてクレームの背後にはその人の「得たいもの」がある。
エーブ・ワグナー氏曰く「クレームには二種類しかない」
その種類を見極め、適切に初動対応しないと、不必要にこじれさせてしまう。
1.1 早く何とかしてくれ
新しい部品と取り換えてくれ
返金してくれ
担当の人と話がしたい
このように純粋に希望を叶えれば終わってしまうクレームである。
(現実的に叶えられるかは別問題だが)
このような方に
「申し訳ないです。ご迷惑をおかけしました。今後はこのようなことがないよう・・・」
「今回の経緯を店長から詳しくご説明します・・・」
などと対応してしまうと、
「俺は早く○○さえしてくれればいいの!」
と注がなくてもいい油を注いでしまうことになる。
きっとあなたもお客さんの立場でこういう体験をしたことがあるでしょう。
1.2 私の気持ちを分かってくれ
とても困った
かなり迷惑した
サービスが残念だった
まず、このようなお客様の気持ちに寄り添う必要のあるクレームである。
このような方に
「○○の説明は箱の側面に書いてあります」
「配送が乱れたために・・・」
「次回使える割引券を・・・」
などと対応してしまうと、
「俺の話を聞いているのか!?」
とつけなくてもいい火をつけてしまうことになる。
きっとあなたもお客さんの立場でこういう体験をしたことがあるでしょう。
まとめ
1. クレームには二種類しかない
1.1 早く何とかしてくれ
1.2 私の気持ちを分かってくれ
ゆすりたかりでもない限りはまずクレームの性質を見分けるところからスタート。
では具体的に、お客様とどの様に関わればよいか?
次回をお楽しみに!