「ガンバルッスとか言っても滅ぶのかなあ」
息子が言います。
「滅ばないだろうよ。そもそも王族は“ガンバルッス”とか言わなくないか?」
私が答えます。
「じゃあ“バアバ、ルスだよ”とか」と息子。
「だから王様が誰に“バアバ”とか言うんだよ。王太子にか?」と私。
察しの良い方はピンと来たかもしれません。
息子は
「飛行石を持っているときうっかり“バルス”と言ってしまったらラピュタが滅んでしまって大変だ」
と主張しているのです。
私の意見は以下の通り。
ムスカ大佐が“3分間待ってやる”と言うだろう?その間シータとパズーは長い長い呪文を一緒に唱えているんだよ。
だって、ラピュタの封印を解く呪文が
「リーテ・ラトバリタ・ウルス・アリアロス・バル・ネトリール」
だろう? 滅びの呪文の長さ3文字とバランス悪くないか? 長い呪文詠唱の最後にパズーと心合わせての「バルス!」なんだよ。きっと。
それに、「滅びよ」という気持ちも必要なんだと思う。王族が「はいはい、バルスバルス」と言っても何も起こらないんじゃあないかな。
プラス決められた一連の身振り手振りもあるだろう。王族がむしゃくしゃして「あー何もかも投げ出したい!」と捨て鉢になってついつい「バルス!」と呟いたら滅ぶ、じゃあ危ないからな。
つまり、あれで全部か分からないが「バルス」の発声と、
滅ぼすぞ!という意志と、
多分一定の身振り手振り。
これらの条件がそろって初めて滅びの呪文は発動するのだと思う。
だからシータが「ガンバルッス」と言っただけではラピュタは滅びない!(面倒くさい親父)
なるほどねえ、と息子はそれなりに納得いったようです。
公式設定は知りません。
でも実際そのような三段階認証システムは存在しています。
それはある法事に参列した時のことです。
待合室からお寺の本堂に通されると、席の上にお経が書かれているパンフが置いてあります。
列席者も一緒にお経を読み上げるスタイルの式のようです。たまに体験しますよね。
席に着き、さっそくぱらりとめくってみます。
定番の般若心経をはじめ、
御坊様がお経を唱え始めるときに唱和するもの、
お経が終わる時に唱和するもの、
式が終わる時に唱和するもの、と
数種類が書いてあります。
そのパンフの中に懺悔に関する文章がありました。
「私は仏弟子ではないけれど、この式に参列するこの瞬間だけは今までの悪い行いを懺悔して、仏弟子となった故人をおくります」
そのような意味の文章でした。
いろいろなスタイルの法要があるものだなあ、と興味深く思っていると、
その文章の一節に目が留まりました。
「……今までの身語意によって身につけた煩悩を改め云々」
煩悩とは人が生きる時に感じる苦しみの原因になるもの。
つまり仏教は、
「あなたの行い(身)と、言葉の使い方(語)と、考え方(意)が苦しみを生む」
としたわけです。
世界や自分を否定的なものと考え、
「どうせ自分は」「結局何をやっても」と自分に語りかけ、
不安や不満や怒りを解消するための行動を起こすことはない。
その苦しみ=煩悩を、仏教は修業によって克服しようとしました。
が、現代人は石の上に三年座る時間を取れそうにありません。
さて、「身語意」は「PLN」という表現に変換することができます。
P(Programming:プログラミング)=身
人はどのような状態にいて、どのような行いをするのか
L(Linguistics:言語学)=語
人はどのように言葉を使うのか
N(Neurology:神経学)=意
人はどのように考えるのか
そう、おなじみ「NLP:神経言語プログラミング」が出現しました。
忙しい現代人が煩悩を振り払うために、
人の状態を変え、
人の言語パターンを変え、
人の考え方を変える、
つまり身語意を整える3方向のアプローチをNLPは用意しています。
NLP=神経 言語 プログラミング
この三つの単語からなる西洋の英知は、
仏教をはじめとする東洋の英知を再発見したものだと言えるでしょう。
結論。
身につけた煩悩を改めるのも、
滅びの呪文の効果も、
三段階認証システムなのです。
そんな対煩悩三段階認証システム、NLPはどこからやってきたのか?
・日々NLPを役立てている方はテクニックのルーツを知ることで理解を深めることができるでしょう。
・あなたがNLPトレーナーや講師として活動しているなら、レクチャー内容に厚みを持たせることができるでしょう。
NLPに関心を抱き実践してきたすべての方にお勧めします。