交流分析=TAに“ディスカウント”という考え方がある。翻訳は“値引き”。
本来この言葉は、
dis- 否定を意味する接頭語
count 勘定する、カウントする
が合わさってdiscountという単語になっている。つまり「カウントしない」という意味だ。転じて値引きである。
ディスカウントストアはカウントしない、値引きしてくれるお店である。
さて、TAの“ディスカウント”という概念、翻訳しづらいのは分かるが「カウントしない」という訳語の方が理解しやすい。
では何を「カウントしない」のか?
端的に言うなら「問題解決に役立つ情報をカウントしない」のだ。
(本当は自分の人生脚本に矛盾するような情報を選択的にカウントしないのだが・・・。話をシンプルにするために割愛)
問題解決に役立つ何を“ディスカウント”しているのか。そのタイプを見分けるマトリクスもある。が、私にはなかなか覚えられない。試験でもないとダメなんだろうか。
しかし、“ディスカウント”を見抜く方法はいくつかあって、その一つに「言葉の使い方」があるのは僥倖だ。
日本交流分析学会編『交流分析基礎テキスト』に曰く、
「まず、当然ながら、人が『……できない』と言うときは、ほとんどがディスカウントである。
また、『……してみようと思います』という言葉は、『してみようと思うだけで、本当はしたくない……』という含みを持っていて、ディスカウントであることが多い。」
お、何だかコーチングに接近してきた感じ。
ここ何回か書いてきたように、クライエントが
「○○なんて可能性がないですよ」
「私には○○する力なんてありません」
と言うとき、そこには“ディスカウント”がある。
先のマトリクスに照らし合わせるなら、前者は「オプションの実行可能性」、後者は「変化できる個人の能力」を“ディスカウント”している……かな?
そこまでマニアックにいかなくても、この“ディスカウント”という概念は知っておいた方がコーチングにおいて役に立つと思う。かのフィリップ・ロジンスキー氏も、「コーチングをする上で交流分析とNLPは知っておいた方がいいんじゃない云々」と『コーチング・アクロス・カルチャーズ』に書いていた。うろ覚えで失礼。
さて、クライエントを制限する信念を突っつく話をしてきたわけだが、ICCのトレーニングではもう一つ興味深い「信念」に気づけるよう練習する。
それこそTAの視点であるような、人生脚本を反映したような信念。
「私がそのゴールを達成してしまっていいのだろうか」
である。
今回の私の結論。