お題
「ピンクと水色のシマウマ」を想像しないでください
さあどうでしたか? 言われた通り想像しなかった? そりゃすごい!
この嘘つき!
あなたの頭にはまず「ピンクと水色のシマウマ」が浮かんで、「いや想像しないんだった」と打ち消したでしょ。それが普通に起きる思考プロセスのはず。
何しろ “○○するな”は“○○しろ”と同じ意味なのだ。私たちの無意識にとっては。
言語メッセージは私たちの右脳と左脳に飛び込んでくる。
左脳は主に意識、複雑な文法とその論理的意味を司ると言われる。
だから、「○○ない」「○○するな」などの否定形の文章は左脳が処理する。
対して右脳は無意識、イメージやシンボル、簡単な文法を司るといわれる。
色、形、空間、位置、直観なども含まれよう。
言語メッセージは私たちの右脳と左脳に飛び込んでくる、と書いた。
例えば「ピンクと水色のシマウマ」を想像しないでください。
メッセージはまず右脳が「ピンク」「水色」「シマウマ」などのイメージやシンボルの形で受け取る。
その後、左脳がメッセージの論理的意味を「いやいや違う“想像しない”んだ。否定形だ」と文字通り意識的に処理するのだ。
否定形の文章はまずその否定したいものを先にイメージさせる。
無意識にとって“○○するな”は“○○しろ”と同じとはこういう意味だ。
“廊下を走るな”は“廊下を走る”である。
“人に迷惑をかけるな”は“人に迷惑をかける”である。
入るな、触るな、飲むな、手や足を出すな、電車に駆け込むな、ドアに傘をはさむな、歩きスマホするな、暗い道を一人で歩くな、知らない人についていくな、忘れ物をするな云々。
巷にあふれるこれらの文言は、すべて否定したいものを想起させる表現だ。
否定形の文章を真に理解するためには、脳みそに2ステップの仕事をさせなければならない。それはいらぬ負担だ。
「ピンクと水色のシマウマ」を想像しない方法。それは他の何かを想像することだ。
「○○ない」という否定文に対応した「○○する」という肯定文で表現することだ。
何かから離れる否定表現ではなく、何かに向かう肯定表現。
だからコーチングのゴールは肯定表現で示されなくてはならない。
クライエントが否定表現で示したゴールは、クライエントの手で肯定表現に書き換えられなくてはならない。
これはコーチの超重要な仕事である。
今回の私の結論。