例えば私が「地域社会を大切にしています」といいながら道端にゴミを捨てたら。
「よりよい子供への関わり方」という講演中に騒いだ子供に対して「うるさい!」と怒鳴ったら。
つまりは
言っていることとやっていることが食い違っていたらどうか。
口では何とでも言える。人はやっていることを見て私がどのような人間か判断するだろう。
言っていることとやっていることが一致している。
いわゆる内外一致、自己一致してはじめてメッセージは力を持つと思う。
子供に対して
「静かにしろ! 何時だと思ってるんだ! 少しは考えろ!」
と大声で怒鳴りつけるのも何かがおかしい。
子供は親の立ち居振る舞いをモデルにするしかない。
子供が受け取るメッセージは
「怒った時は怒鳴っていいんだ」
「大人は怒鳴っていいんだ」
「自分より弱い人間には怒鳴っていいんだ」
この辺りであろうか。
ここまではNLPやBCBなどと関連して、折に触れて書いてきたことだ。
今回はこの状況を神経科学の切り口で捉えてみたいと思う。
例えばあなたが夜道を歩いていたとする。街灯も少なく人通りもない。
と、目の端に何かの影が揺れる。
多分あなたはそれが何かを検討する前に反射的に振り向くか、跳び退るか、はたまた恐怖で硬直してしまうのではないだろうか。
身体は血圧が上がり、逃げるか戦うかするための準備を一瞬で整えているはずだ。
動悸が激しくなることでそれに気づくかもしれない。
これは脳の扁桃体という器官の働きである。
危険に対して考える前に反応してくれる大切な部位だ。
「ああ柳の木か、よかったあ・・・」
あなたは影の正体を判断してほっと胸をなでおろす。思考によって脅威かどうかを判定するわけだ。
だが、それが飛んでくるボールや追いはぎなどの本当の脅威であった場合、「えーとこの影は」などど考えていたら大変な目に遭うだろう。
まず反応、その後考える。私たちの生命を守るための脳の素晴らしい仕事だ。
さて、その扁桃体には闇、急に動くもの、蛇など生物として人間が何を恐れなければならないかという情報が組み込まれている。本能と言うやつだろう。
プラス、後天的に学んだ恐れや脅威も蓄積されていくという。
高所や閉所、怖い人や皆に嫌われているのではないかという恐れ。
人がそのような脅威を感じた時は扁桃体の出番だ。
緊急事態発生! だが困ったことにその宣言は前頭前野などの脳機能をシャットダウンしてしまう。
つまり脅威に対する反射的な対応しかとることができなくなる。頭が真っ白になるというやつもそう。
これが扁桃体ハイジャックだ。
脳の情報伝達経路とか端折ったので説明が雑すぎるかもしれない。だがここで言いたいことには事足りる。
恫喝によって物事を進めようとするすべての人へ。
「少しは考えろ!」と大声で怒鳴りつけ、人に脅威を与える振る舞い。
相手に本当に「少しは考えて」欲しいなら、はっきり言って何の役にも立っていません。
ハイジャック犯の共同正犯と言ってもいいでしょう。
真理は人を自由にする。
脳の働きが明らかになりつつある今、知るだけで何かを変えることもできそうだ。
扁桃体ハイジャックのレクチャーは4日目の予定。
NLPを神経科学でアップグレードする
開催:2018年4月28日(土)~5月3日(木祝)の6日間
会場:国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)
講師:ジョセフ・オコナー(Joseph O’Connor)
通訳:小林 展子 Ph.D.