私自身BCBの研修を行うようになって10年位経つ。
BCBと言えば事例と実習、つまり物語と体験だ。それらはとてもパワフルなので、常に使えるネタを収集している。
そのような事例につかえるエピソードが昨年の中頃連続した。今回はそれらをご紹介したい。
「ハッピバースデーディアPく~~~ん」真っ暗な部屋に六本のろうそくがまぶしい。
というわけで我が家の長男Pノ介も6歳になった。早い。ホントに早いものだ。
ここでママからのプレゼント。平たい。
包みを開けて顔を輝かすPノ介。中身は36色の色鉛筆。工作男子の彼にとってはお宝である。
「でねP。大切なお話があるの」とママは切り出す。
「お前は絵を描くのが好きで、すごい上手だとママは思う。だからもっとたくさんの色がぬれるようにいい色鉛筆を買ってきたの。
これはママも子供の頃にもらってとっても嬉しかったやつと同じ。だからPにも大事に使ってほしいの」
「うんわかった~」
色鉛筆をなでなで気もそぞろのPノ介。
「でね、色の順番はどうでもいい。あんたが夜寝るときには鉛筆を箱に全部しまって、ふたをして、片付けるって約束してほしいの」
「わかった~」
「ありがとう。片付けなかったら色鉛筆はママがもらうからね」
「わかった」
瞬間、心もち真剣になるPノ介。それは、
“片付けないと本当にママに取られる!”
と理解しているからだ。
それから一年と半年経った今、幸いにも色鉛筆はまだPノ介の所有物である。
数日後、妻実家主催でバーベキューの会が行われた。Pノ介と長女しいたんこを引率するのは私。
父が書斎派だったので、私も書斎派になった。だからBBQに連れて行かれた記憶はないし、だからと言っては何だが子供たちを連れて行ったこともない。
その未体験のBBQというものに大はしゃぎの二人。
Pノ介はかろうじてBBQのイメージを持っている。
ウルトラマンタロウ第33話「ウルトラの国大爆発5秒前!」、久しぶりに地球を訪れたハヤタ、ダン、郷さん、星司の4人に東光太郎がBBQを振る舞うのだ。
「串にささってるんだよね、パパ!」
「お肉とか玉ねぎとかピーマンとかだよね! あ、ピーマン食べれないなあ~。どうしよう~」
「ドーシヨー」
うるさい。
電車乗換の最終行程で、ターミナル駅から始発電車に乗ることになった。ガラッガラの電車にこれまたハイテンションの二人。
「ねーねー、誰もいないから寝ころがってもいいでしょ~」
「イーデショー」
ツープラトン攻撃だ。
「まあまて子らよ。父の話を聴きなさい」私の両脇に座る二人。
「あのね、人が居ようと居なかろうと、電車というものはまっすぐ座るものなのだ。なぜかというと電車とはまっすぐ座るものだからだ。そっちの方がカッコイイしな。
しかもこんなに空いてるから今日は特別に座ってもよいと言っている。
でもまだゴロゴロしたいなら、今日は大切なBBQの日だが、我らは電車を降りなければならない」
「はーい」「ハーイ」座って遊び始める二人。
すでにしいたんこ当時3歳でさえ
“パパがおりるっていったらほんとうにおろされちゃうわ~”
と理解しているのだ。
やるといったらやる
やらないといったらやらない
約束を守る
これらは基本的な信頼感の元となるものだ。
それをわざわざ技法にしなくてはならない時代になったのか。
BCB創始者エーブ・ワグナー氏はある時から “相手の否定的行動を建設的に指摘する12の方法”=ケア・フロンテーションの最期に
「指摘を受けた人が行動を変えると言って、まったく変化がないときにどうするか」
ということをつけ加えはじめた。
「これは今の日本にこそ必要だ」を思った我々は、その話をまとめてもう一つの技法を作成した。
だから最近のケア・フロンテーションは13個あるのだ。
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13個目の元になったオリジナルレクチャーも収められています。